風俗店のバンス制度で借金を一気に返済しようとするのは無茶?
風俗のお仕事を始める女性の一番の理由は「借金」ではないでしょうか。
実は風俗店には「バンス制度」というものがあって、この借金返済のために風俗のお仕事を始める女性を救済する仕組みが整っている・・・ように見えます。
本記事では、このバンス制度を使って借金を一気に返済しようとする企てが、しかし如何に無茶かということをご説明したいと思います。
バンス制度とは?
おそらく、本記事をご覧になってくださっている女性はインターネット上などで多少なりとも「バンス」という言葉を目にしたから、ご訪問されたのではないでしょうか。
そこでまず、この「バンス」という言葉についてしっかりとご説明したいと思います。
バンス制度の「バンス」とは、英語の「in advance(前もって)」を省略した表現です。
では何を「前もって」なのかというと、給料のことです。
当たり前のことですが、風俗嬢さんは出勤しお店で働いた後、お金をもらいます。
労働の対価として、もらうことができるのです。
しかし何かしらの良くない事情が重なり、差し迫ってまとまった金額のお金が必要と成る場合もあるでしょう。
借金返済がその典型です。
債権者(※)は返済期限を過ぎたら待ってくれません。
即効で現金が必要に成るのです。
こういった事情から女性が風俗のお仕事を始める場合、こんな会話が応募時の電話なり、その後の面接なりで交わされるのは容易に想像ができます。
店長「どうして数ある仕事のなかで、わざわざ風俗の仕事をやろうと思ったんですか?」
女性「お金のためです。・・・実は差し迫った借金を背負ってしまって、いますぐ返さなければならないんです。
図々しいですけれども、先に〇×万円、給料を前借りすることはできるでしょうか・・・?」
もちろん、まだ働いてもいない女性にお金を差し出すほど風俗店の店長さんもバカではありません。
何かしらの条件を課すはずです。
あるいは、前貸しした金額に利子をつけるかも知れません。
いずれにせよ、こういった会話で風俗店と女性の間で交わされる給料前貸しの契約のことを「バンス制度」と言います。
もちろん、店長の視点で言えば給料の「前貸し(まえがし)」。
風俗嬢さんの視点で言えば給料の「前借り(まえがり)」。
この「貸し/借り」の区別はバンスという言葉を使う場合にはあんまり意識されていないみたいです。
(※お金を請求する権利のあるひとです。
例えば、お金を貸してもらった消費者金融、月の家賃を回収しなければならない大家さん、学費の納入を要求する権利のある学校などが、こういった「債権者(さいけんしゃ)」に当たります。
それに対して、お金を納めなければならない本記事で登場する風俗嬢さんのようなひとを「債務者(さいむしゃ)」と言います。)
このようにバンス制度とは、借金返済で困った女性が風俗の世界に飛び込むのに、うってつけの制度なのです。
風俗店のなかには求人広告の時点で「ウチにはバンス制度あります」と前もって告知しているところもあります。
しかしバンス制度は、実を言うと、法律的に見て無効。
バンス制度は差し迫った借金返済に困った女性が風俗の世界に飛び込む格好の理由に成ります。
ただ、ここで注目すべきことなのが、このバンス制度で結ばれた労働契約自体、法律上の観点からすると「無効」だということです。
労働基準法によれば「お金を貸した分カラダで働いてもらう」というタイプの労働は容認されていません(第17条)。
なので、バンス制度を込みにして労働契約を結んだとしても、その「込み」の部分であるバンス制度は切り捨てられてしまうのです。
実はこのバンス制度の無効性は、風俗嬢の観点からして都合の良いものです。
なぜなら、仮に店長から「給料前貸ししてあげるよ。
〇×万円ね。
その代り、少なくとも半年、週5で1日5時間、途切れなく出勤して働いてもらうからね。
じゃあ、この書類に同意してハンコ押して・・・」などとバンス契約を結ばされたとしても、この契約は即座に無視できるものだからです。
極論を言ってしまえば、バンス契約を結んだあと、お金だけもって逃亡したとしても、破棄されるのは労働契約だけで、警察が追って来るようなことはありません。
風俗嬢さんのほうが詐欺罪を犯しているように見えますけれども、労働基準法上違法な労働契約ですから、店長が警察に泣きついたところで相手にしてもらえないでしょう。
では、バンス制度を利用してしまえば良いのか?
バンス制度を使った労働契約をしてバカを見るのは風俗店の店長さんだけのように見えます。
だったら、借金返済に困った女性は、風俗店をカモにしてバンス契約を結び、すぐに飛んでしまえば良いのでしょうか。
もちろんそんなに現実は甘くありません。
以下は、バンス制度を用意している或る風俗店店長さんの考えです。
「私はバンス制度で、これまで何人もの風俗嬢を自分のお店に雇って来ました。
実際、風俗店で働こうとする女性の何人かはバンス制度を当てにして応募し面接にやって来ます。
私はそういう場合、まずその娘のポテンシャルを見ます。
つまり、この娘を雇って継続的に使ったところで安定した売り上げを期待できるか、ということです。
そのハードルをクリアしたら、労働条件を確認後、週5程度で毎日4、5時間の勤務を約束させます。
そして最後に、これが肝心なのですが、個人情報のほとんどすべてを手に入れます。
住所とアパート名はもちろん、携帯電話の番号のみならず固定電話番号、さらには他に勤務先や通学先があるならそこの電話番号、さらには実家の電話番号も手に入れます(もちろん本人に電話を掛けさせて確認します)。
彼氏が居る場合は、彼氏の電話番号も、そして友人知人関係の電話番号もできる限り手に入れます。
実家に関して言えば、実家の住所も証明書類と共に提出させます。
そうやって絶対に高跳びできないようにします。
信頼関係は結べませんが、そうやって逃げられないようにしバンス制度を結んだ風俗嬢に前貸しした給料の最高額は200万円です。」
(或る風俗店店長のブログから。文章改変済み。)
このように風俗店店長もバカではありません。
バンス制度を利用することによる危険性は重々承知のうえで、お金の無い風俗嬢を囲い込んでいるのです。
無茶はしないほうが良い。
バンス制度を提供している風俗店の店長は、この制度を利用することのリスクを十分に承知しています。
だから、バンス制度を悪用してお金を持ち去ろうとしても無駄だということを心得ておきましょう。
そのうえでバンス制度を考えたとき、バンス契約を守って働くのは果てしなく辛く厳しいということが予想できます。
風俗未経験者にとって、週5勤務、毎日4、5時間というのは非常にカラダに応えます。
風俗は肉体労働です。
初心者は週1、2勤務くらいから始めなければ、カラダそして何よりも心が病んでしまいます。
こう考えるとバンス制度なんて無茶なことはしないで、溜まった借金は風俗店経由ではなく、親や親戚から借りて返済するという道を選んだほうが良いでしょう。
「まだ思いとどまれます。」
無茶な借金返済は考えないでください。
まとめ。
いかがだったでしょうか。
「風俗店のバンス制度で借金を一気に返済しようとするのは無茶?」
というタイトルで記事を書かせて頂きました。
バンス制度は一見、風俗嬢に有利に見えます。
しかし危険なことこの上ない制度なので、利用するのは控えたほうが良いでしょう。