風俗嬢が恋愛することに権利が問われるのはなぜか?
2018/02/04
世の中に需要と供給の双方が共存していることで初めて、お金を対価とする仕事が成立します。
女性から与えられる性的快感やそのひとときを求める男性に関する需要がある前提で、風俗嬢という供給の形が成り立っていることは疑いようもありません。
しかし風俗嬢は昼の世界に属する人々から際立って差別されやすく、肩身が狭いのが現状です。
その背景もあり風俗嬢に関しては「恋愛する権利がない」として、偏見的に決めつける意見も多く存在します。
それでは何故、風俗嬢だけに限って恋愛する権利が必要とされるのでしょうか。
この記事では風俗嬢が恋愛することに権利が問われやすい理由と、現時点での対処法について解説します。
風俗嬢は何故差別されるのか
風俗嬢が社会全体として差別されやすいことは冒頭でも触れましたが、その具体的な理由とは何なのでしょうか。
恋愛感情を抱いた際の対処法について考察する前に、まずは世間一般で風俗嬢が嫌悪される理由について詳しく見ていきましょう。
お金を稼ぐためなら誰にでも体を許す
店舗側が設定する迷惑客であればNG認定してもらうことで接客せずに済みますが、風俗嬢もまた接客業である以上は客を選ぶことはできません。
客が選べないという特徴からこのように揶揄する人も中にはいますが、基本的には風俗は性的サービスを提供するのであって、本番行為を含めての性行為を行うことはありません。
性行為を行うことは風俗店でも固く禁じられているため、一般的には風俗嬢イコール性行為ありきの仕事という認識は誤解なのです。
あくまでも本番行為なしの性的サービスを提供しているため、そもそも男性客に体を許すことは仕事内容に含まれていないことを一般の人たちは知りません。
自分で苦労せず楽してお金を稼いでいる
風俗嬢といえば自分の体一つで稼げる仕事であると思われがちなため、風俗全般に嫌悪感を抱く人からすれば風俗嬢自身は何の苦労もしていないと考えることがよくあります。
しかしこれもまた誤解であり、風俗嬢は体を使った接客業なのです。
男性客を心身ともに満たさなければお金を稼げませんし、男性客ごとの性格や好みを見抜いて接客の仕方を変えていかなければなりません。
性的興奮を高めるためのテクニックや自分自身の容姿も磨く必要があります。
風俗嬢もまた一般職同様、様々な努力を要する仕事であると言えるでしょう。
金銭感覚が狂っている
一般職の平均的な月給を大幅に上回る稼ぎが可能となる風俗嬢では、確かに金銭感覚が狂っている女性も数多く見られます。
しかし風俗で働く際の目標を達成した後は一般職へと転職し、普通の生活を送る女性も確かに存在します。
金銭感覚が狂うかどうかは本人のお金の使い方次第であり、高給取りの仕事に就く人であれば誰でも起こりうることです。
風俗嬢だから金銭感覚が狂うとは一概に言えることではありません。
平気で嘘をつける
風俗嬢は一対一の接客業であり、完全歩合制を採用しています。
そのため指名客を多くつけるために、時には嘘をつくことが必要となります。
男性客に対して嘘をつく場面もあることから、平気で嘘をつけるとして軽蔑する人も中にはいます。
ただどのような仕事であっても、信頼関係を築くための嘘やお世辞を言わなければならない場面に遭遇することがあります。
そうした際に全く飾らない言葉を並べてしまっては、最悪の場合にはその取引先との信頼関係が崩れてしまいかねません。
風俗嬢もまた男性客ありきでの仕事のため、時には平気な顔をして嘘をつくこともあります。
しかしそれには相手を気遣う意味での嘘も含まれており、嘘をつくことが悪だと決めつけることこそ傲慢ではないでしょうか。
その他にも差別される理由を挙げるとキリがないですが、その理由は全て外野目線でのものばかりです。
風俗業界で一度も働いたことのない人たちが想像で物を言っているので、謂れのない非難や侮蔑が含まれていることが普通になってしまっています。
それでは何故、風俗嬢という仕事は一般職と分け隔てられて考えられてしまうのでしょうか。
風俗嬢は接客業のスペシャリスト
風俗嬢は男性客に性的サービスを提供する仕事であるため、体を使うという部分を悪くとらえられ差別されがちです。
しかし体を使うといえばエステティシャンや柔道整復師といった仕事も、広義で言えば自分の体を使って仕事しています。
そこに性的要素が含まれるかどうかというだけで差別されているのです。
風俗嬢は男性客の心身を満たすために仕事している訳ですが、具体的にはどのような意味を含んでいるのでしょうか。
性的サービスで体を満たす
風俗に通う男性客では自身の欲求不満を満たすために、風俗嬢を指名してお金を払っています。
そのため肉体的な不満を抱えているととらえることができます。
自分一人ではどうしようもないその不満を、風俗嬢が性的サービスを施して解消しているのです。
肉体的な不満を解消するためにはフィニッシュまで導くための高度なテクニックと、男性を視覚的に興奮させるためのルックスやスタイルが必要になります。
体を満たすこと一つをとっても、十分努力する要素がある訳です。
接客スキルで心を満たす
風俗嬢は単に性欲を解消するだけと思われがちですが、厳密にはそうとも言い切れません。
男性客としても無愛想だったり配慮に欠ける態度をされれば、その風俗嬢を二度と指名することはありません。
肉体的には満足しても精神的な不満が残れば、その男性は完全に満たされた状態とは言えません。
そのため風俗嬢として働くには男性客の望むことを読み取れる鋭い観察眼や、疲れた男性の心を満たす癒しの力が必要とされます。
男性客の要望を叶えるためには高い忍耐力も必須であるため、何も性欲を解消させるだけが風俗嬢の仕事の本質ではありません。
風俗嬢が恋愛感情を抱いた際の対処法とは
風俗嬢の仕事内容が十分理解されていないために、現代の日本では風俗嬢たちが恋愛する権利があるのかどうかを問われることが多々あります。
風俗嬢だからといって差別されず公平に恋愛できる社会が理想ではありますが、現状に合わせた対処法として、以下のようなものがあります。
風俗嬢を引退する
風俗嬢をしている時点では何を言っても聞いてもらえないことが多いので、未練がなければいっそ風俗嬢を引退する方がいいかもしれません。
風俗の世界から離れてしまえば恋愛する権利がどうのと言われる必要もなくなり、一般の人々に受け入れられやすくなります。
ただ引退したからといって相手が許容してくれるかどうかは、その人次第と言うほかありません。
恋愛感情を墓場まで持って行く
一般職の人と恋愛することを諦めている女性では、その恋愛感情を墓場まで持って行く場合もあります。
しかしこの方法では心の虚しさや寂しさを埋め合わせることができないので、結果として他人に心を閉ざしてしまう女性が生まれてしまいます。
素直にカミングアウトする
好きな相手に嘘をつくことが嫌な場合には、素直にカミングアウトするのも一つの方法です。
その事実を許容してもらえない場合には諦めざるをえませんが、誠実な態度で風俗嬢をしていた理由や自分の思いを伝えることで、相手も少しずつ心を開いてくれるかもしれません。
秘密にしていたことを暴露するのは勇気がいりますが、自分から心を開かなければ相手に何を期待することもできません。
まとめ
風俗嬢だから恋愛する権利がないという訳ではなく、日本の社会全体が狭い物の見方しかできないから、風俗嬢が肩身の狭い思いをすることになるのです。
どのような仕事に就いた女性であっても平等に生きられる時代が来るまでは、外野の声を気にせず強かに生きることが求められます。